
――カサンドラ症候群の疲れが夜に出るとき
「最近、夜が苦手になってきた」
そう感じることはありませんか。
布団に入ってもなかなか寝つけない。
ようやく眠れても、浅い眠りのまま朝を迎えてしまう。
そんな夜が少しずつ増えていく…。
発達障害を抱える家族やパートナーを支え続けている方の中には、同じような悩みを抱えている人が多くいます。
理解したい、助けになりたいと思っていても、思うように気持ちが通じず、疲労や孤独感が心の奥に積もっていきます。
やがて、「カサンドラ症候群」と呼ばれる状態に陥り、心と体のバランスが崩れ始める。
そのサインのひとつとして現れるのが、「眠れない夜」です。
■ 頑張りすぎる人ほど、眠れなくなる
日中は家族の世話や仕事で気を張り、夕方には疲れ果てているはずなのに、眠れない夜が続く。
これは決して「怠け」や「精神力の弱さ」ではありません。
むしろ、責任感が強く、相手のために一生懸命動いてきた人ほど、眠れない夜を迎えやすいのです。
心がずっと緊張状態のままでいると、自律神経のバランスが崩れて、夜になっても「休むモード」への切り替えができなくなります。
頭の中では、「明日も頑張らなくちゃ」という思考が止まらず、体も硬くなったまま。
眠りは「努力」では得られないものです。
だからこそ、心を温めて「眠りやすい体」に戻していくことが大切になります。
■ 「眠らなきゃ」と思うほど、遠のく眠り
眠れない夜ほど、焦ってしまうものです。
「もう1時間経った。明日も仕事なのに」「どうして眠れないんだろう」
そう考えるほど、脳の覚醒スイッチが強く入ってしまいます。
カサンドラ状態のとき、心は常に不安や孤独に敏感です。
誰かの言葉を反芻したり、今日の出来事を何度も思い出したりして、脳が休もうとしません。
そんな夜は、眠ることを「目的」にせず、「休む」ことを目標に変えてみましょう。
横になって、深呼吸をしながら「今はただ休んでいるだけでいい」と自分に穏やかに語りかける。
焦りを手放せたとき、少しずつ眠気が訪れることがあります。
■ 夜を穏やかに迎える3つのステップ
- 部屋の明かりを整える
夜遅くまで明るい照明を浴びると、脳が「まだ昼だ」と勘違いしてしまいます。
眠る1時間前から、部屋を温かい橙色の灯りに変えましょう。
それだけでも、体が「夜の準備」に入りやすくなります。 - 考え事をノートに出す
頭の中が忙しいときは、ペンを手に取って、思っていることをそのまま書き出してください。
きれいにまとめなくて構いません。
「今日、疲れた」「もう何も考えたくない」――どんな言葉でもいいのです。
書き出した瞬間、心が少しだけ軽くなることがあります。 - 「眠ろうとしない時間」を作る
横になっても眠れないときは、一度起きてみましょう。
明るすぎない部屋でハーブティーを飲む、ストレッチをする、静かな音楽を聴く……
「眠れない時間」も自分を整える時間として使ってよいのです。
■ 睡眠不足が心を追い詰める前に
眠れない日が続くと、感情のバランスが崩れやすくなります。
いつもなら流せる言葉に過剰に反応してしまったり、人と関わること自体が苦しくなったり。
それは、あなたの中の「心のエネルギー」が底をつきかけているサインです。
まずはしっかり眠ることが、回復の第一歩になります。
――眠れる心と体を取り戻すために
■ 眠れる体をつくる日中の過ごし方
睡眠を整えるには、夜だけでなく「昼の過ごし方」も重要です。
体内時計を調えることが、夜の眠りやすさにつながります。
・朝、起きたら5分だけでも自然光を浴びる
・昼に軽く体を動かす(散歩やストレッチ)
・夕食を寝る3時間前までに済ませる
・カフェインは15時以降控える
これらは一見小さなことですが、毎日の積み重ねで「眠りやすいリズム」を再びつくっていきます。
■ 心を落ち着かせる呼吸法
不安や緊張を和らげるのに効果的なのが「呼吸のリズム」です。
次のようにゆっくりとした呼吸を試してみてください。
- 鼻から4秒かけて息を吸う
- 7秒息を止める
- 8秒かけて口からゆっくり吐く
この「4-7-8呼吸法」は、自律神経を整え、寝つきを助けるといわれています。
繰り返すうちに、心拍が落ち着き、思考のスピードもゆるやかになります。
■ 「頑張る」を少しお休みする夜
カサンドラ状態の人の多くは、「常にどこかで頑張ってしまう」傾向があります。
相手のこと、家庭のこと、仕事のこと……。
どれも大切だからこそ、自分を後回しにして疲れが蓄積していく。
でも、眠れない夜は「がんばりのスイッチ」をオフにしてよい時間です。
できることはしなくてもいい。
誰かに理解されなくても、あなたの努力は消えません。
「今日はもう、何もしなくていい」
そう自分に言葉をかけてあげてください。
それは無責任ではなく、心を守るための選択です。
■ 安眠のための小さな儀式
眠りやすくするための「おまじないのような習慣」を作るのも効果的です。
・湯上がりの温かいミルクやハーブティーを飲む
・明かりを消す前に、1分間だけ深呼吸する
・「今日も一日おつかれさま」と声に出す
・大切だと思える香りを部屋に漂わせる
こうした小さな行動が、脳に「もう大丈夫」「休んでいい」という安心感を与えてくれます。
■ 眠れない時間が教えてくれること
眠れない夜は、単に睡眠の問題ではなく、「心の声」に気づくチャンスでもあります。
もしかしたら、あなたの中で「もう少し自分を大切にしたい」という声が聞こえているのかもしれません。
それは弱さではなく、回復へのサインです。
もしどうしても眠れない夜が続くときは、専門家の力を借りてください。
医師やカウンセラーに話すことは、決して恥ずかしいことではありません。
誰かに「つらかった」と伝えるだけで、心の重荷が少し軽くなります。
■ 朝を迎えるあなたへ
眠れない夜を過ごしたあとの朝は、少し体が重いかもしれません。
でも、太陽の光をほんの少しでも浴びたとき、体の奥で自然とリセットのスイッチが入ります。
焦らず、今日を乗り切るだけでいいのです。
眠りは「取り戻すもの」であり、「育てていくもの」です。
今日もあなたが、自分自身を少しでも労わる時間を持てますように。
夜がやさしく包んでくれる日が、また訪れますように。

