
- 結婚後に気づいた「違和感」とは――
- もしかして「発達障害」?という気付き
- カサンドラ症候群――サポートする側が追い詰められていく現実
- 発達障害パートナーと向き合うための実践アドバイス
- 1. パートナーの特性を知る・勉強する
- 2. できるだけ具体的・論理的に伝える
- 3. 感情的な交流に過剰な期待をしない
- 4. 自分ひとりで抱え込まない
- 発達障害パートナーに“合わせるだけ”の日々――限界を感じるあなたへ
- 具体的な生活対策――家族が消耗しないための知恵と工夫
- 1. ルールや役割の明確化
- 2. 特性を踏まえたコミュニケーション
- 3. 感情の共有・安心できる場所の確保
- 4. 家族自身がセルフケア
- 5. トラブルの振り返りと次回の対策
- どうしても限界を感じるときは
- まとめ――自分の人生も大切に
結婚後に気づいた「違和感」とは――
結婚前は優しくて穏やかな人だと思っていたパートナー。けれど、生活を共にするようになってから、やや激しい感情の起伏や、何気ないすれ違いが増えて、「なんだか会話が成り立たない」「共感してくれない」「自分だけが我慢している」と感じることはありませんか。
些細なことで予想外に怒られたり、嬉しい気持ちに共感してもらえず、ただ事務的な応答しか返ってこない――「なぜ話が通じないのだろう?」と悩んだことがある方は多いはずです。共働きや子育てなど、人生の重要な場面で「一緒に喜びを分かち合いたい」「不安や悲しみを受け止めてほしい」と思っても、パートナーから理屈や一方的な意見しかもらえず、ますます孤独感が募ることもしばしばです。
もしかして「発達障害」?という気付き
「違和感」や「話が嚙み合わない理由」を探す中で、ネットや書籍で「大人の発達障害」(ASD=自閉スペクトラム症、ADHDなど)という言葉にたどり着く方も多いです。
調べてみると「共感性の低さ」「自分の興味関心に強いこだわり」「空気が読めない」「場にそぐわないマイルール」など、多くの特徴がパートナーに当てはまる場合もあるでしょう。
ASDなどの発達障害の人は、交際している時には外面やルールとして「優しくできる」ことも多く、結婚後や家庭生活を共にする中で本質的な特性やこだわりが表に出てくるため、「豹変したように感じる」ケースが多いのです。
カサンドラ症候群――サポートする側が追い詰められていく現実
一方で、「自分ばかりが傷ついている」「理解されずに孤独」という思いが積み重なっていくと、サポートする側が次第に心身の不調を感じるようになります。これが「カサンドラ症候群」と呼ばれる状態です。
【カサンドラ症候群の主な症状】
- パートナーへの不満や孤独、絶望感
- 会話や感情の共有がうまくいかず、精神的に疲れ果てる
- 次第に自分に自信を失い、抑うつや不安、不眠や体の不調が現れる
「身近な人に相談してもわかってもらえない」という“二重の孤独”も大きな特徴です。
発達障害パートナーと向き合うための実践アドバイス
1. パートナーの特性を知る・勉強する
まず大切なのは「症状や特性について正しい知識を持つ」ことです。ASDやADHDなどの発達障害は、本人の意志や性格ではなく、生得的な脳の特性に由来します。
「なぜ共感できないのか」「どうしてわかってくれないのか」は、脳の働きの違いによるものであり、意図的な拒絶や悪意ではありません。
2. できるだけ具体的・論理的に伝える
発達障害のパートナーは「曖昧な言葉」や「ニュアンスを読む」ことが難しい傾向があります。「ちゃんと片付けて」ではなく「リモコンはテレビの下のケースに戻して」など、具体的に説明する工夫が役立ちます。
3. 感情的な交流に過剰な期待をしない
「共感」「慰め」「思いやり」といった感情のやり取りを、相手に求め過ぎると、お互いがますます苦しくなってしまう場合があります。「できないこと」を責めるのではなく、「できる形」で距離や役割を調整する発想が重要です。
4. 自分ひとりで抱え込まない
孤独やフラストレーションが限界に達する前に、家族会や発達障害者支援センター、カウンセラー・医療機関等、”外部の横のつながり”を持つことが有効です。
生活が困難になってゆく日々、「大人の発達障害」パートナーとの現実的な向き合い方――セルフケアと具体策
発達障害パートナーに“合わせるだけ”の日々――限界を感じるあなたへ
結婚生活を続ける中で、パートナーの発達障害特性が顕著になると、どうしても「自分だけが我慢している」「コミュニケーションや家事、共同生活のすべてがうまくいかない」と感じる場面が増えていきます。
話が嚙み合わない・感情を共有できないなどのすれ違いから、サポートする側は心身の疲労が蓄積し、自分が壊れてしまいそうになる——これがカサンドラ症候群の典型例です。
具体的な生活対策――家族が消耗しないための知恵と工夫
1. ルールや役割の明確化
発達障害のパートナーには「察してほしい」「暗黙の了解」は伝わりにくい傾向があります。「家事の分担」「生活のルール」「お金の管理」「家族行事」など、すべてを“明文化”し、見えるかたちで共有することが有効です。
カレンダーやホワイトボード・アプリなどを活用し、「誰が何を、いつまでに、どのようにやるか」一覧にしておきましょう。
2. 特性を踏まえたコミュニケーション
ADHDの人には「短く簡潔に」、ASDの人には「あいまいな表現を避ける」など、相手の特性に合わせてコミュニケーションを工夫します。
抽象的な言葉ではなく「〇時までに××をしてほしい」「この手順書通りにやればOK」など、具体的な指示やビジュアルサポートを取り入れると誤解が減ります。
3. 感情の共有・安心できる場所の確保
自分の感情を受け止めてもらえない苦しさを抱えやすいので、「共感」の期待値を下げて、信頼できる友人・カウンセラーなど“感情的な安心基地”を確保しましょう。
趣味やサークル、ピアサポート団体への参加など、家庭以外にも居場所を増やすことが回復の近道です。
4. 家族自身がセルフケア
発達障害の家族を支えていると、「自分の休息」「自分の楽しみ」を後回しにしがちですが、意識的にリフレッシュの時間を作る、ストレスを発散する習慣を持つことが大切です。
「わがまま」ではなく「家族を維持するための投資」と割り切って、プロのカウンセリングや地域の支援センターも活用しましょう。
5. トラブルの振り返りと次回の対策
生活上のトラブルが発生した際、「なぜ起きたか」「どう改善できるか」を冷静に分析し、感情に任せず、次回に向けた改善策(新たなルール・工夫)の形で話し合いましょう。
どうしても限界を感じるときは
- 別居や距離を置く、第三者を入れてサポート体制を組み直す
- 障害者支援センターや福祉窓口、精神科で家族のセルフケア相談を受ける
- 家族自身がカサンドラ症候群やうつ症状で辛い場合は、医療機関で適切なサポートを受ける決断も必要です。
まとめ――自分の人生も大切に
発達障害パートナーとの暮らしは、ただ「合わせ続ける」だけでは不幸になることも。
互いの特性と生活課題を正しく理解し、「具体的なルール化」「外部サポートの活用」「自分のセルフケア」を軸に、無理なく支え合える距離や関わり方を見つけてください。
自分の健康、自分の人生も同じくらい大切です。
家庭だけで抱えず、必要なときは相談窓口や支援団体へ。本記事があなたの穏やかな日々へつながる参考になりますように。


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