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発達障害のパートナーに悩む日々に、心身の不調。これって病気?

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「妻」ではなく、ひとりの人間として限界

「夫は大きな子どもみたい」と笑って済ませられる段階を、とうの昔に通り過ぎている。
仕事、家事、育児、実家やご近所への気配りに加え、発達特性のある夫のフォローまで担っていると、「妻」「母」という役割の前に、ひとりの人間として電池が切れそうになります。

  • 何度お願いしても伝わらない、覚えてもらえない。
  • 約束や生活ルールを守ってもらえず、その尻ぬぐいをするのはいつも自分。
  • 相談しても「そんなの気にしすぎ」「男なんてそんなもの」と受け流される。

「サポートする側」でありながら、いつの間にか「家族を回す最後の砦」になり、倒れたくても倒れられない。そんな状況が続けば、限界を感じるのは当然です。

「大きな子ども」じゃ済まない現実

世間では「男なんてみんな子ども」と軽い冗談のように言われます。
けれど、発達障害特性の強いパートナーと暮らすと、それが“可愛いおちゃめさ”では済まないと感じる場面が続きます。

  • こちらの感情や雰囲気を読み取れず、共感がかみ合わない。
  • 段取りや優先順位をつけるのが極端に苦手で、家事・育児が成り立たない。
  • お金、時間、約束ごとの管理ができず、生活の基盤が揺らぐ。

「障害」として理解した方が説明がつくレベルで、日常生活がままならないこともあります。
それでも社会の多くは「性格」「努力不足」と扱いがちで、あなたの違和感やしんどさは周囲に伝わりにくいまま、家の中だけに溜まっていきます。

「普通」に暮らすために増えていく負担

本当は、ただ「普通の生活」がしたいだけ。
穏やかに会話して、ときどきケンカして、助け合って生活していきたいだけ。

けれど、発達特性が強いパートナーとの暮らしでは、その「普通」を保つために、見えない家事と調整が雪だるま式に増えていきます。

  • 夫の分までスケジュール管理や段取りを組む。
  • 夫の苦手を予測して先回りし、トラブルが起きないように動く。
  • 子どもの前で衝突しないよう、自分の怒りや悲しみを飲み込む。

気づくと、「普通を保つこと」自体がひとつの大仕事になっています。
周囲から見れば「ちゃんとやっている奥さん」でも、内側では常にフル回転。ブレーキも休憩もないまま毎日が過ぎていきます。

心と体が教えてくれる「もう無理」のサイン

そんな状態が続くと、心身は静かに、でも確実に悲鳴を上げ始めます。
最初は「ちょっと疲れてるだけ」と見過ごしてしまうかもしれません。

  • 夜なかなか眠れない、朝起きられない。
  • 常にイライラしていて、些細なことで涙が出る。
  • 頭痛、胃痛、動悸、めまいなど、検査をしてもはっきりした原因が見つからない体調不良。
  • 仕事や家事へのやる気が出ない、何も楽しく感じない。

「甘え」「気の持ちよう」と片づけるにはあまりに重いサインです。
それでも多くの妻たちは、「夫は障害があるのだから」「私が頑張れば」と、自分の不調より家族の平和を優先してしまいます。

これは性格の問題ではなく「病気レベル」の状態

ここで、はっきりさせておきたいことがあります。
発達障害のパートナーを支える中で、強いストレスと孤立感にさらされ続けた家族の不調は、「気合い不足」ではなく、れっきとした“病気レベル”の状態になり得るということです。

  • 長期的なストレスと孤立は、うつ病や不安障害、自律神経失調などを引き起こしやすくなります。
  • 「自分がおかしいのかも」という自己否定は、症状をさらに悪化させます。
  • 周囲に理解されないことで、支援につながるチャンスも奪われがちです。

あなたが今感じている心身の不調は、「弱いから」でも「妻として足りないから」でもありません。
発達障害のパートナーを支えるという、非常に負荷の高い環境に長く晒されてきた“結果”なのです。

カサンドラ症候群という名前に出会う

このように、発達障害やその特性を持つパートナーとの関係の中で、理解されない孤独や自己否定感が積み重なり、心身に不調をきたす状態は、近年「カサンドラ症候群」と呼ばれるようになってきました。

  • パートナーとの間で、感情的な共感や対話がかみ合わず、いつも一方通行に感じる。
  • 「こんなに頑張っているのに」「私だけが我慢している」と感じ、やり場のない怒りや虚しさを抱える。
  • 周囲に話しても「気にしすぎ」「相手を理解してあげて」と言われ、さらに孤立する。

この“名前”を知ることは、決してラベリングでも、パートナーを悪者にすることでもありません。
「自分のしんどさには理由があった」と気づくための、ひとつの手がかりです。

「なんならもう、うつ病では?」という感覚

カサンドラ症候群について知れば知るほど、「もしかして、自分、もううつ病なんじゃないか」と感じる方も多いはずです。
実際、カサンドラ状態から本格的なうつ病へ移行するケースもあります。

  • 以前好きだったことに全く興味が持てない。
  • 何をしても楽しくない、未来に希望が持てない。
  • 仕事や家事、身の回りのことすらこなせなくなってきた。
  • 「消えてしまいたい」「いなくなった方が楽かもしれない」と思うことがある。

ここまで来ているなら、「気のせい」ではありません。
心のエネルギーはすでにかなり消耗していて、一刻も早く“自分を助けに行く”必要があります。

「病院?役所?どこに相談すればいいの?」

そう気づいても、多くの人が次の壁にぶつかります。
「何からすればいいの?」「どこに話を聞いてもらえるの?」という不安です。

  • 精神科・心療内科に行っていいのか、それともまだ早いのか迷う。
  • 役所の相談窓口に行っても、どこまで話していいのか分からない。
  • 夫の発達障害の話までしていいのか、自分のしんどさだけを話すべきなのか悩む。

この戸惑いは、とても自然なものです。
そして残念ながら、いまだにカサンドラ症候群に詳しい専門家や支援窓口は多いとは言えません。だからこそ、「誰に・何を」伝えるかのポイントを押さえておくことが、あなたを守る大事なステップになります。

まずは「今の自分の状態」を見つめ直す

心身のSOSに気づいたら、最初にするのは「セルフチェック」です。
いきなり病院や役所に行かなくてもいいので、今の自分を言葉にしてみます。

  • いつから眠れない(起きられない)日が増えたか。
  • どんなときに特に涙が出るか、怒りが抑えられないか。
  • どんな場面で「一人ぼっち」だと感じるか。

メモ帳やスマホに、思いつくまま書き出してみてください。
これは、後で医師や相談員に「自分の状態」を伝える、大事な材料になります。​


「病院レベルかどうか」の目安

次に、「どのくらいしんどいときに医療機関を考えるか」の目安です。
ざっくり言うと、「生活に支障が出ているかどうか」が一つのラインになります。​

例えば、以下のような状態が続いているなら、病院(精神科・心療内科)を検討してよいサインです。

  • 仕事や家事が明らかにこなせなくなっている。
  • 何をしても楽しくない日が何週間も続いている。
  • 食欲が極端に落ちた、または食べすぎてしまう。
  • 「消えたい」「いなくなりたい」が頭から離れない。

「カサンドラ症候群」はまだ正式な病名ではありませんが、そこで起きている“うつ状態・不安・睡眠障害などの症状”は、治療の対象になります。​


最初の一歩に向いている相談先

「病院はハードルが高い」と感じる場合、クッションになる相談先もあります。
発達障害のパートナーがいる家族に対して、相談を受けている公的・専門機関はいくつかあります。​

  • 発達障害者支援センター
    各都道府県にあり、発達障害のある人や家族の相談を受け付けています。診断がなくても「夫が発達障害かもしれない」「接し方がつらい」といった相談が可能で、必要に応じて医療機関や福祉サービスを紹介してくれます。​
  • 自治体の相談窓口(障害福祉課・子育て支援・女性相談など)
    市区町村の役所には、発達障害、家庭やDV、女性相談など、いくつかの窓口があります。「どこに繋いだらよいか分からない」ときの総合案内としても使えます。​
  • メンタルクリニック・心療内科・精神科
    心身の不調が強いときは、支援センターよりもまず医療機関を優先した方がよいとされています。​

相談するときに「何をどう話すか」

いざ窓口に行っても、「何からどう話せばいいか分からない」という戸惑いがあります。
そこで、以下の3点を押さえておくと伝えやすくなります。​

  1. 自分の症状
    • 「ここ数か月、眠れない・仕事に行けない・涙が止まらない」など、期間と一緒に。
  2. 日常生活で困っている具体的な場面
    • 「夫が予定を守れず、常に私が調整している」
    • 「話し合おうとしても、こちらの気持ちが伝わらず、孤独に感じる」
  3. 自分の見立て(カサンドラかもしれない)
    • 「発達障害のパートナーを持つ家族がなる“カサンドラ症候群”という状態を知り、自分に当てはまると感じている」

専門家側がこのキーワードを知っていれば話が早く進みますし、知らなくても「こういう背景なんだな」と理解の助けになります。​


「夫を診てもらう」の前に「自分を守る」

多くの人が、「まず夫に発達障害の検査を受けさせなきゃ」と考えます。
しかし実際には、

  • パートナー本人が受診を嫌がることが多い。
  • 診断がついても、すぐに家庭内のストレスが減るわけではない。

という現実もあります。​

そのため、専門家も「まずはカサンドラ状態の本人が相談に来ること」を勧めています。​
夫をどうするか以前に、「自分をこれ以上壊さない」ことが最優先です。


カウンセリングや夫婦カウンセリングという選択肢

病院での薬物治療や診断だけがすべてではありません。
カサンドラ状態では、次のような支援も役立つとされています。​

  • 個別カウンセリング
    自分の気持ちを整理し、「どこまで頑張るか」「どこから距離を取るか」の線引きを一緒に考えてもらえます。​
  • 夫婦カウンセリング(カップルセラピー)
    相手が同席に同意している場合、第三者の前でコミュニケーションを練習したり、役割分担を具体的に決めたりできます。​
  • ピア・サポート/家族会・当事者会
    同じ立場の人と話すことで、「自分だけじゃない」と感じられ、孤立感が軽くなりやすいとされています。​

「いきなり夫婦で行くのは無理」という場合は、まず自分だけ個別カウンセリングに行く形でもかまいません。


家の中でできる「距離の取り方」と工夫

外部の支援と同時進行で、家庭内での「セルフ防衛」も大切です。​

  • 役割分担を“言語化”する
    「察して」もらうのではなく、「○○のときは△△してほしい」とパターンで伝える方が、発達特性のあるパートナーには伝わりやすいとされています。​
  • 期待値を下げる
    「ここまではやってくれたらOK」「これはもう自分の担当」と、線引きをすることで、裏切られたような怒りを減らせる場合があります。​
  • 感情のガードを作る
    相手の言動すべてを「私への攻撃」と受け取らず、「特性ゆえの反応」と一度フィルターにかける習慣は、自分の心を守る助けになります。​

もちろん、これらは「あなたがもっと我慢しろ」という意味ではありません。
完全に理解し合えない相手との間で、自分のダメージを最小限にするための工夫です。


「休んでもいい」「離れてもいい」を自分に許す

支援の世界では、カサンドラ状態の家族に対し、「一人で抱え込まず、まずは相談を」と何度も繰り返し伝えています。​
同じように大事なのが、「休むこと」「距離を取ること」を自分に許可することです。

  • 実家や友人の家に泊まりに行く。
  • 一時的に別居という選択肢を検討する。
  • 家事や育児を外部サービス(家事代行、一時保育など)に任せる。

「そこまでしなくても」とブレーキをかけるかもしれませんが、その“遠慮”が自分を追い詰めてしまうこともあります。
あなたの心と体は、家族を守るための“インフラ”のようなものです。そこが壊れてしまえば、誰も守れなくなります。


あなたのしんどさに「正当な名前」を

カサンドラ症候群は、まだ診断基準も治療ガイドラインも確立されていない、グレーゾーンの概念です。​
それでも、各地のクリニックや支援機関がこの言葉を使い始めているのは、「あなたの苦しさに名前を与えたい」からです。​

  • 「夫のことで悩んでいる妻」
  • 「我慢が足りない人」

ではなく、

  • 「発達特性のあるパートナーとの関係の中で、長期的なストレスと孤立にさらされてきた人」

として、専門家も見ようとし始めています。
あなたの苦しさは、“ただのわがまま”でも“弱さ”でもありません。助けを求めていい、ケアされるべき「状態」です。


おわりに:全部を一度にやらなくていい

ここまで読んで、「やることが多すぎて、逆にしんどい」と感じたかもしれません。
大丈夫です。全部を今日やる必要はありません。

  • 今日は、メモに自分の状態を書き出すだけ。
  • 明日は、住んでいる地域の発達障害者支援センターやメンタルクリニックを調べるだけ。
  • 来週、一つだけ電話をしてみる。

そんな“小さな一歩”で十分です。
あなたが「もう限界かもしれない」と感じているなら、それは立派な受診・相談の理由になります。どうか、あなた自身の人生も、家族と同じくらい大切にする選択をしていけますように。

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