大人の発達障害の診断を受けさせたい場合、まずは精神科や心療内科、あるいは発達障害専門外来のある医療機関を訪れることが一般的です。これらの医療機関では、初診時に本人や家族から問診を行い、幼少期からの発達歴や生活歴を詳しく聞き取ります。
診断には、本人の行動観察だけでなく、知能検査（WAIS-IVなど）や性格検査、発達障害に特有の心理検査（ADOS-2、ADI-Rなど）を組み合わせて慎重に行われるのが通常です。本人が検査に拒否感を持つ場合、まずは生活や困りごとを整理し、医師に相談することをおすすめします。
本人の説得方法としては、「診断がつくことで自分の困りごとの理由がわかり、適切な支援や治療が受けられる」「生活が楽になる可能性がある」といったメリットを穏やかに伝えることが有効です。また、焦らず本人のペースを尊重し、サポート体制があることを伝えることも重要です。
診断の流れは、予約→初診（問診・心理検査）→必要に応じて追加検査→最終診断というステップが一般的で、診察時間は初回で1時間程度かかることが多いです。
まとめると、大人の発達障害診断を希望する場合は、精神科や心療内科の発達障害外来に予約を取り、本人の幼少期からの特徴や生活状況を詳細に伝え、心理検査を踏まえた総合診断を受ける流れです。説得には本人の不安を和らげる配慮が不可欠で、診断は本人の困りごとに対する理解と支援につながります。
本人に発達障害の診断を受けてもらうための説得法
発達障害の診断を本人に受けてもらうことには、多くの難しさがあります。本人が「自分は普通だ」「診断なんて必要ない」と感じる場合も多いからです。しかし、診断がつくことで適切な支援や治療に繋がり、今抱えている困難が軽減する可能性が高まります。説得の際のポイントは以下の通りです。
- 肯定的な伝え方をする
「診断を受けることで、自分の特性をよりよく理解できる」「生活や仕事を楽にする方法が見つかるかもしれない」といった前向きな言葉を使いましょう。否定的に「病気扱い」するのではなく、自己理解や自分らしい生き方の手助けとして説明すると受け入れやすくなります。 - 本人の感情や不安を尊重する
診断への不安や抵抗感を否定せず、「不安は当然のこと」「無理に決める必要はない」と伝えて、本人のペースを尊重する姿勢を示します。 - 具体的な困りごとに焦点を当てる
「仕事でどんなミスが起こるか」「人間関係のどんな場面でつらいか」など、本人が実感している日常の困難に話を向けましょう。共感を示しながら、診断がその困難を理解し対処する手がかりになることを伝えます。 - 身近なサポート体制を作る約束をする
「診断後、ひとりで抱え込まず支えていく」「医療機関に同行する」など、安心感を与える対応策を示すことで、本人の負担感を減らします。
診断で実際にされること
医療機関に行くと、以下のような流れで診断が進みます。
- 初診での問診・聞き取り
幼少期からの生活歴、学校や職場での様子、現在の困りごとを医師が本人や可能なら家族から詳細に聞き取ります。母子手帳や学校の通知表などがあるとより正確な情報提供に役立ちます。 - 心理検査の実施
知能検査（WAIS-IVなど）、心理検査、発達障害特有の評価尺度や質問紙を実施することがあります。ただし、医師の判断で必須でない場合もあります。 - 観察と行動評価
医師や臨床心理士が本人の行動や対話の様子を観察し、診断の参考にします。 - 総合的な診断
収集した情報をもとに、DSM-5やICD-11の基準に照らして診断がなされます。診断結果は医師が丁寧に説明してくれます。 - 支援計画や治療方針の提案
必要に応じて、カウンセリングや薬物治療、職場や家庭での配慮の相談が行われます。
どの医療機関を選べばよいか
- 精神科・心療内科が一般的ですが、すべての医療機関で発達障害の診断が可能とは限りません。
- 発達障害専門外来や発達障害認定医のいる医療機関を選ぶと安心です。
- 電話やウェブサイトで「発達障害の診断が可能か」を事前に問い合わせることをおすすめします。
- 通院が難しい場合、オンライン診断や相談を実施するクリニックも増えていますが最終的には対面診療が必要なことが多いです。
まとめ
発達障害の診断に至る道のりは、本人の理解と協力が不可欠であり、説得は焦らず本人の気持ちに寄り添うことが最も重要です。
診断は、本人の人生の質の向上のためのスタートライン。周囲が適切に声をかけ、医療機関との橋渡しをすることで、本人も必要な支援を受けやすくなります。
大人の発達障害の診断について不安がある方も、この記事を参考に、本人とともに一歩ずつ進めることができますように。
